国立病院機構 米子医療センター 病院長 久留 一郎
【はじめに】
新年あけましておめでとうございます。皆様お健やかに新しい年を迎えられたこととお慶び申し上げます。今年は卯(うさぎ)年です。 うさぎはその跳び姿から「飛躍と向上」を象徴する動物として親しまれてきました。 また、うさぎは穏やかで温厚な性質であることから、「家内安全」を意味します。 他にも草木が地面を蔽うように成長する様子を表すので、新しいことに「挑戦」するのに最適な年と言われています。 うさぎ年の本年が皆様にとって幸多き年そして発展の年となりますことを心からお祈りいたします。 そこで、うさぎ年にちなんで「飛躍と向上」、「家内安全」「挑戦」をキーワードに皆さんと健康を考えてみましょう。
【医療技術が飛躍向上しています】
旧年中は新型コロナのために、当院でも一時入院を制限するなどみなさんには大変ご不自由をお掛けしました。この新型コロナをきっかけに私たちの生活様式は大きく変わってきました。 例えば、コロナ禍では多くの人が会社や学校に通うことなく、家庭でインターネットを使用してリモートワークやオンライン授業を受けることが普及しました。この流れは、医療制度にも影響しています。 みなさんはオンライン診療という言葉を聞いたことがあると思います。病気になった時に家庭でインターネットを介して医師と直接会話することで診療が受けられる仕組みです。 将来、保険証がマイナンバーカードに組み込まれる見込みですので、オンライン診療はさらに普及してゆくでしょう。また、私たちは年に複数回コロナワクチン接種を受けます。 このコロナワクチンは従来のものとは異なり、遺伝子治療技術で作られているので、一種の遺伝子治療です。これまで一般の人には無縁であった遺伝子治療がワクチンという形で私たちの社会の常識となりました。 悪名高い新型コロナですが、「医療技術の飛躍向上」を推し進めて、新しい時代への扉を開くきっかけにもなっています。
【人生100年時代に必要な家内安全を考えます】
医療や保健制度の飛躍向上に伴って最近は100歳近くの長寿の方も珍しくなくなりました。最近の医療統計によると、2020年に生まれた男性の凡そ1/4、女性の凡そ半数の方が90歳以上まで長生きすると予測されています。 実際にこのコロナ禍においても、2022年の平均寿命は、女性87.6歳、男性81.5歳ですので、まさに、私たちは「人生100年時代」を生きています。 ところが、2020年に入って新型コロナの影響で健診を受ける方が減少しました。コロナ蔓延期に健診や病院の受診控えのために、癌や生活習慣病の早期発見が遅れ、そのケアが難しくなることが懸念されています。 最近は、健診を受診される方が増加しており、これは好ましい傾向です。英国の心理学者が、「人生100年時代を生き抜くには、人の活力財産と言われる健康、 バランスの取れた生活、友人関係が大切である」と言っています。言うまでもなく健康は私たちの最も重要な財産ですから、皆さんが、定期的に健診や診察を受けて体調を管理しながら、 心身ともにバランスの取れた生活を送り、新しい年も「家内安全」と参りましょう。
【当院は病院機能向上に挑戦して参ります】
当院では、コロナ禍でしばらく閉じていました緩和ケア病棟を昨年10月から再開しました。また、新型コロナのような新たな感染症にも対応できる病棟の整備も行っています。
このように当院は西部医療圏の急性期医療を担う病院として皆様の健康維持に貢献すべく、病院機能を改善して行くために病院を上げて今年も努力を重ねて様々な課題に「挑戦」して参ります。
健康管理をしっかりして頂いて、うさぎのように新しい年が皆様にとりまして飛躍向上の年となることをお祈りします。結びに小生の稚拙な川柳で締めくくらせていただきます。
「さあ、跳ぶぞ。足腰気になるウサギ年」