平成31年1月1日 院長 長谷川 純一
新年明けましておめでとうございます。皆様健やかに平成最後の新年を迎えられたこととお慶び申し上げます。
昨年は1月から東京始め各地の大雪で、社会生活に大きな影響がありました。7月には西日本豪雨で河川氾濫や土砂災害など甚大な人的、物的被害が生じ、まだ復旧できていないうちに台風21号や24号が襲ってきました。驚くことに関西国際空港が冠水し、孤立するという想定外の出来事もありました。米子医療センターでは感謝祭を中止したり、がんフォーラムを延期する程度で収まりましたが、被害に遭われた方々へは心よりお見舞い申し上げます。また、大阪の地震ではブロック塀の倒壊が全国の同様の塀の安全点検のきっかけとなり、北海道の地震では全道の停電という未曾有の事態が生じました。さらに8月には米子で38度を記録したばかりか、体温に近い外気温が日常的となり、学校のエアコン設置が急がれました。このような天変地異が続き、原発の安全性さえ完全ではないことを目の当たりにした私たちは、人々の健康に寄与する使命を果たすためにも、改めて日頃からの危機管理の大切さを自覚すべきであり、気を引き締めたいと思います。
一方、医療に関係するめでたい出来事として、本庶佑先生のノーベル医学生理学賞の受賞がありました。先生の研究成果の先に生まれたニボルマブは、画期的新薬として、当初は悪性黒色腫に保険適応となったものですが、その後非小細胞肺がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頚部がん、胃がん、悪性中皮腫と適応が拡大され、その高価格のゆえに問題となった薬でした。しかしこの薬とて皆に著効を示す訳ではなく、プレシジョン・メディスンといわれるように、個々の疾患、病態等々に合わせた治療への移行が今後益々進んでいくものと思われます。
当院はこれまで血液を含むがん医療と腎医療に経営資源を集中させ、当地での信頼を獲得してきましたが、超高齢社会の現在、これらの患者さんはがんや腎疾患のみならず、複数の生活習慣病や高齢者特有の疾患を抱えておられます。地域医療支援病院として、そのような病態にも対応できる相応の体制を整備していく必要があると思っています。また、働き改革も単に残業時間の短縮と捉えるのではなく、全てのスタッフがポジティブな気持ちで協力し合い、チームとして高いパフォーマンスを発揮できるよう環境改善・意識改革に努めたいと思います。それらを通して、今後ともこの医療圏になくてはならない急性期病院として、頼りにされる存在でありたいと思います。
今年も皆様のご指導・ご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。