国立病院機構 米子医療センター
病院長 久留 一郎
【はじめに】
平素は当院に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。この度、 長谷川純一先生の後任として本年4月1日より院長職を拝命しました久留一郎と申します。新米院長でございますが、よろしくお願いいたします。 “地域の命を支える” という当院の基本理念の実現に向けて、地域の医療に少しでも貢献できるように、チームワークで病院の体制(病院機能)を充実させて参ります。 では、当院の“病院機能”の努力目標を二つ述べたいと思います。
【川柳にも詠まれる病気の創発現象を考えます】
「風が吹けば桶屋が儲かる」というのは連鎖反応です。特に、一つの課題が予想していなかった別の課題に大きく関わってゆく連鎖反応を“創発現象”と呼びます。 2019年末にコロナウィルス感染症が発生し全世界的に猛威を振るい、欧米ではロックダウン、我が国では緊急事態宣言が発令され、それによって社会活動や経済活動にも深刻な影響が出るのも “創発現象”です。医療も例外ではありません。コロナウィルス感染症が急増すると、患者さんを収容するための医療提供体制が逼迫します。さらに「出勤が運動だったと気づく腹」(詠み人知らず) という川柳にもあるようにステイホームで運動不足になったり、持病でこれまで病院にかかっていた患者さんが健診や医療機関の受診を控えることで持病が悪化してしまったりするケースが増加する現象も創発現象です。 一つの課題が別の課題に大きく関わってゆく医療の創発現象は同時に進むので、病院は多くの異なった課題に同時に対応できる体制を作らなければなりません。私達はこのような病気の創発現象に対して、 “確実に医療を提供してゆく病院機能”を整備するように努力して参ります。
【患者さんと共に、チームワークで質の高い医療を創って行きます】
もう一つの目標は“患者さんにとっての質の高い医療”を“チームワーク”で提供することです。私達は患者さんに”よくなってほしい”、“我々の提供する医療や看護に満足してもらいたい” という思いを込めて病院を運営しています。そのためには患者さんや社会のニーズに答えていける“医療の質”を最大限に高めていきたいと考えます。一般に医療の質は、限りのある社会の医療資源の中で “効果があり、安全で、満足度の高い”医療で表されます。例えば、癌に対して手術やお薬による治療により健康を取り戻して頂くという“効果”に加えて、手術の合併症やお薬の副作用の発生を減らすという “安全”を確保し、治療の結果のみならず、その過程に患者さんが“満足”してもらうことで完結します。この“医療の質”の向上を支えるのが病院職員のチームワークです。 そこで“当院の医療の質”は以下のようなイメージとなります。
当院の医療の質=医療の質(効果があり、安全で、満足度の高い)× 病院のチームワーク
私達は職員の“チームワークの輪”をさらに強くして、当院の医療の質を最大限に拡大できるように努力して参ります。
結びに、稚拙ではございますが、自作の川柳で自己紹介をさせて頂きます。
「増えていく孫のスマホ写真と腹囲径」(字余りで失礼しました・・・・)
みなさま、どうかよろしくお願いいたします。