ページタイトル病院長ご挨拶

新年度のごあいさつ
原点回帰

令和3年4月1日  院長 長谷川 純一  

 昨年は暖冬でしたが、この冬はラニーニャ現象で寒くなると言われていました。案の定、年末年始に大雪となり、丁度10年前の雪害を思い出し、恐れましたが、それほどではなく、大山などのスキー場には恵みの雪となったようです。ただ、毎年のように続いた暖冬によるスキー場関連の経営不振で、閉鎖されたり休業、縮小など営業面の厳しさと、新型コロナウイルス感染症対策による経費増大や外出自粛ムードなどもあり、大山では折角の大量降雪も十分利活用できなかったようです。ただ、それ以後大雪はなく、最低気温が氷点下4度や5度となり、水道管の破裂が多かったり、病院でも暖房による使用電力量が想定を上回ったりしましたが、その後の気温上昇で桜の開花が早まりました。さらに4月に最高気温が25度を超す夏日となったと思うと、またまた低温になったり、何ともちぐはぐな1月〜4月でした。

 一方、世界中で猛威を振るった新型コロナウイルス感染症は、海外との往来や過密な状況の避けられない大都会のみならず、人口の一番少ない鳥取県内においてもいくつかの患者クラスターが発生し、鳥取県西部医療圏におきましても感染症指定病院以外の急性期病院でも患者の入院を受け持つ事態となりました。また、同ウイルス感染症の入院患者さんへの波及防止のため、昨年からの面会禁止措置を続けざるを得ず、入院患者さんには大変ご不便を強いる結果となり心苦しく思います。しかし、ひとたび院内へ感染が波及すると、免疫抑制下にある腎移植、血液幹細胞移植を受けた患者さんはもとより、免疫能の低下している各種がん患者さんにあっという間に感染が広がってしまう恐れがあり、病院が治療の場ではなくなってしまいます。このことから、面会禁止のみならず、玄関入り口に置いた自動体温測定器や、移動歴などの問診票記入、マスク着用など外来患者さんには、大変ご迷惑をおかけしております。しかし、一方で、このことは安心して当院で受診いただくための措置であり、外来患者さんのためでもある事をご理解いただければ幸いです。

 また、この新型コロナウイルスが猛威を振るっている先進国の中では、ワクチン接種の開始がほぼ最後発となったわが国ですが、その先陣を切って安全性の確認目的の臨床研究として国立病院機構の内の100病院と、労災病院等の職員を対象とした先行接種が2〜3月に行われました。これには開発が先行した米国ファイザー社のワクチンが用いられました。このワクチンは新型コロナウイルス表面のスパイク蛋白の遺伝情報となるmRNAを含んだ脂質 (PEG)のナノ粒子を筋肉注射するものです。ウイルス感染症にも、一度罹患するとほぼ一生罹患しないものや、毎年でも繰り返すもの、さらには2度目には重症化しやすいものなど種類があります。新型コロナウイルス感染症の全貌が未だわかっていないことから、ワクチンの発症予防効果の持続期間などもまだ完全には判明していませんが、このワクチンこそが現在の社会・経済の難局から脱する現時点で唯一の方策です。そのワクチンのわが国における安全性確認のための先行接種の対象病院として当院が選定されたことは名誉なことと思います。万全の体制で臨み、幸い、重篤な副反応は認めないまま試験は終了いたしました。また、この先行接種以後も当院では継続して優先接種に移行し、職員及び委託社員などの8割以上が早々にワクチン接種を終え、集団免疫状態に達していることになります。このことは、当院が職員を介した感染症クラスター発生の可能性を大きく減らし、安心・安全な病院である事を意味します。患者さんには安心して受診いただける事をご理解いただきたいと思います。

 最近急増して第4波となっている新型コロナウイルスは変異型であり、感染力が強いと報告されていますが、不要不急の外出や三密を避け、特に飲食の際の感染に気をつけることが肝要とされています。マスクの上手な使用に心がけたいものです。

 さて、新型コロナウイルス感染症については粛々と対策を取っていくこととして、本来の病院業務についてもしっかりと役目を果たさなくてはなりません。当院の第4期中期計画の真ん中、3年目となります。2020年度の病院目標であった「病院機能の磨き上げ」に関してはコロナ禍において十分な実績を残すことができたか大いに疑問ですが、種々の反省に立って、21年度の病院目標を「原点回帰」としました。これまで、年々高みを目指してきたところですが、思わぬ所にほころびがあったり、基本的なことでも先延ばししてきた部分があるようです。今から75年前の1946年、旧陸軍病院のルーツから、広く戦後の復興を支える国民の健康を等しく守る立場の国立病院として実質的にスタートした時、さらには国立病院機構が独立行政法人化された後、2014年に中期目標管理型法人として、また、同時期に建て替え整備された新病院として船出した当時を原点として、高みに挑んでいった気持ちを再確認し、新たな高みを目指したいという意味で定めました。そして、表のような4つを重点的に目指したいと思います。

 まず第1点目は、昨年と同じですが、医療者-患者関係を重視し、患者さんの医療へのアドヒアランスが高く維持できるよう、患者・家族の目線に立ったきめ細やかな支援ができる体制整備を目指します。昨年度以上に徹底いただき、この点における好評価が増える事を期待したいと思います。また、地域の先生方からの紹介を中心とした医療ですが、学際的あるいは境界領域の疾患などもあり、紹介医と患者さんの思いのミスマッチなどもあるようです。これまでの総合診療「総診」を「総合内科」として総合内科専門医の新たな着任も得て、充実させることにより、紹介を容易にし、きめ細やかな診療を期待したいと思います。2点目は医療安全・院内感染対策の基本に立ち返り、マニュアルなどを再整備することとしました。また、責任者の負担軽減も含め次世代のリーダー養成が必要です。3点目は少数精鋭の当院には是非とも必要と思われることで、ポジティブ思考を基本に効率的な働き方を追求する事を掲げました。4点目は教育・研修の機会を確保すると共に、国立病院機構という公的病院の責務の一つであり、当院で特に不足している研究機能の強化を図る事としたいと思います。

 昨年度は、電子カルテシステムの更新が大きな課題でしたが、多少の手直しを残すものの、関係各位のご尽力により無事乗り切ることができました。この点につきまして心から、感謝したいと思います。第4期中期計画の第1点目に「地域に必要な分野の専門的医療機能を充実させ、第三者評価を受ける」事を掲げたとおり、21年度をその仕上げの年として、次年度に向けた受審準備を進めたいと思います。

 がん診療に関し、丁度コロナ禍で、がん患者さんの受診控えがあったかも知れませんが、がんの発生、進行は待ってはくれません。これも原点回帰、仕切り直して課題克服に向かいたいと思います。一つ嬉しいニュースがあります。血液のがんに対する当院の造血幹細胞移植治療に関して、その体制と実績が評価され、この度4月1日より日本造血細胞移植学会のカテゴリー1の施設に認定されました。主に大学病院が該当している全国で100施設127診療科の一つとして、勿論鳥取県では唯一の診療科として認定されたわけですが、これまでの努力が認められたものとして、ひたすら尽力いただいたスタッフ各位に敬意と感謝の意を表したいと思います。この分野の本県における最後の砦としてこれからも充実させていきたいと思います。

 いずれにしましても、鳥取県西部医療圏において必要とされる米子医療センター実現に向け、全職員がポジティブな気持ちで取り組んでいきたいと思います。皆様のご支援、ご協力をよろしくお願い致します。

2021(令和3)年度病院目標

「原点回帰」

  1. 患者目線に立った医療の提供
  2. 医療安全の取り組み強化
  3. 主体的で活力ある職場環境づくり
  4. 教育・研修、研究の推進

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