国立病院機構 米子医療センター 病院長 久留 一郎
【はじめに】
新緑の候、皆様におかれましては、ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。今年は能登半島地震が起こり多くの方が被災されました。一日も早い被災地の復興をお祈りします。
さて、ポストコロナ時代となり、社会の動きが加速しています。北陸新幹線の延伸、パリ夏期オリンピック・パラリンピック開催、米国大統領選挙などが予定されています。医療に関しても大きな変化が起こります。
時間外労働の上限規制による医師の働き方改革や現行健康保険証廃止などの施策が始動します。このように変化する医療環境の中で当院は人の輪を強固にして対応して参ります。
みなさんは今年の上半期から20年ぶりに新紙幣が発行されデザインが新しくなることをご存知でしょうか?紙幣の「顔」が10000円札は福沢諭吉から渋沢栄一へ、5000円札は樋口一葉から津田梅子へ、
そして1000円札は野口英世から北里柴三郎へと代わります。渋沢栄一は近代日本の資本主義経済と社会のシステムを作った人、津田梅子は津田英学塾の創始者で女性高等教育に尽力した人、
そして北里柴三郎は北里大学の創始者でジフテリアの発見など近代日本医学の父です。今の日本にとって、組織の運営と教育と医学の発展は、わが国が取り組むべき重要なキーワードであるために紙幣の「顔」となっているそうです。
さて、これらのキーワードは当院にも当てはまります。そこで①病院運営の向上、②教育・研修・研究の推進、③医療水準の向上という3つのキーワードについてお話をします。
【キーワード1:病院運営の向上】
日本医療機能評価機構では全国の病院を①患者中心の医療を推進しているか、②良質な医療を実践しているか、③病院の地域の命を支えるという理念を達成するために適切に組織を運営しているかという点(病院機能評価といいます)を 評価し合格認定を出しています。昨年、当院はこの認定病院となりました。今後も地域の命を支える病院として患者さんやご家族に信頼される病院となるべく継続的に病院の機能が向上するように運営してまいります。
【キーワード2:教育・研究・研修の推進】
近年、医療スタッフが医師に代わって仕事の一部を行う制度(タスクシフト・タスクシェアといいます)が導入されています。そのために病院は日進月歩する医療の進歩に応じて職員が知識や技術を身に付ける教育の機会を作る必要があります。 そこで院内の教育研修を充実させながら、患者さんにとって安心安全の医療を提供できるように努めて参ります。
【キーワード3:医療水準の向上】
病院の発展には医療技術の向上は必須です。新しい医療技術を安全に当院で使えるようにするための仕組みを持った委員会を整備しました。これによって新しい治療法を安全且つ迅速に患者さんに届けることができます。
また、地域の医療のIT化に対応し患者さんが病院を受診しやすくするためにデジタル化を鳥大病院と連携して進めています。
以上申し上げました課題を職員一体となって克服してゆくために2024年の当院の病院目標を「協働して病院の機能を充実する」とします。「協働」という言葉を使いました。
これは同じ目的のために平等の立場で協力して共に働くことを意味し、役割分担が事前に決まっているときに使われます。病院機能評価により明確になった私たちの役割分担に沿って、お互いの結びつきを強固にしながら、
協働して診療・ケアを充実させて参ります。どうぞご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。
2024年度 協働して病院の機能を充実する
- 安心・安全で質の高い患者中心の医療を実現する。
- 協働してチーム医療を深化させ地域医療に貢献する。
- 教育・研修、研究を効率よく協働して充実する。
- 病院機能の面から病院運営を協働して革新的に強化する。