令和3年1月1日 院長 長谷川 純一
新年明けましておめでとうございます。皆様健やかに新年を迎えられたこととお慶び申し上げます。今年こそは皆様にとって明るい1年になる事をお祈りいたしております。
昨年は年明けから暮れるまで、ずっと新型コロナウイルス感染症に振り回されました。
当米子医療センターは、国立病院時代を含め、地域の方々の健康を守るため、政策的に必要な分野を含め、広く質の高い医療を提供する事を大きな目的として運営してきました。その中には医療従事者教育への貢献や、医療水準の維持発展に寄与する研究機能、地域医療を支える二次救急機能の維持も重要な役割として整備してまいりました。昨年は当院の立地する鳥取県西部医療圏におきまして、新型コロナウイルス感染症に対し、行政・米子保健所のリーダーシップと、鳥取大学医学部の指導、さらには鳥取県西部医師会や西部救急の協力のもと、連携協定締結の4病院と公的病院が一丸となって対応してまいりました。今年も、この感染症の波を乗り切れるよう務めますので、皆様も、3密回避、マスクの着用、手洗い励行などと共に、感染機会の削減にご協力をよろしくお願いします。
さて、このコロナ禍で気になる大きな変化がありました。新型コロナ感染症以外の通常の疾患の医療需要の急減です。小児の発熱性疾患や成人を含めたインフルエンザ等が非常に少なくなっています。昨年も年末に増加した後、新年になって新型コロナウイルス感染症の予防策が徹底された途端、インフルエンザも激減しました。これらのことは、インフルエンザといえども、予防接種の他、マスク、手洗い、3密回避がいかに予防に有効であるかという点と、多少の風邪症状などは病院を受診しなくても、家庭でのセルフメディケーションで間に合うということを示しているのではないかと思われます。
一方、感染症と異なり、生活習慣や加齢に伴って発症してくる動脈硬化性疾患や、悪性腫瘍など早期発見、早期治療が必要な疾患は急減するはずがありません。当初、院内の感染予防対策に懸念があった頃、健康診断の休止や、急がない手術の延期などもありましたが、速やかに体制を整備し、受診抑制とならないように配慮してきました。しかしながら、例年と様変わりしている点が気がかりです。1〜2年先のコロナ禍を乗り切った頃に、大きく進行したがんや、大がかりな治療が必要になった疾患を有する患者さんが多くなることを危惧します。行政、報道機関も、コロナ関連の情報伝達ばかりでなく、この点も忘れないでいただきたいところです。
米子医療センターとしてはコロナ対策に万全を期する事は元より、地域の皆様の通常の健康保持への取り組みも一層力を入れて継続しますので、ご指導・ご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。