『火の鳥』の不老長寿にあやかって
平成29年1月1日 院長 濵副 隆一
新年明けまして、おめでとうございます。皆様におかれましては、健やかに新年を迎えられたことと存じます。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
鳥取県中部を震源としてM6.6の地震が昨年10月21日に発生しました。被災された皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、1日も早い復興をお祈り致します。鳥取県には目立った活断層がないと言われ安心していましたが、遡ってみると、1943年には鳥取地震(M7.2)が、2000年には鳥取県西部地震(M7.3)が起こっており、全国どこでも油断はできないようです。
昨年のリオ五輪は国中を熱狂させ、まとまる機会に事欠いた日本をひとつに団結させてくれました。スポーツは、筋書きがないからこそ、見る人を夢中にさせるのでしょうが、なかでも、卓球男子シングルの水谷豊選手、男子体操総合の内村航平選手、バドミントン女子ダブルスの高橋・松友組の「劣勢を跳ね返しての逆転勝利」には酔いしれました。ルネサンス期を代表するイタリアの芸術家レオナルド・ダビンチの言葉に「幸運の女神には後ろ髪がない」という諺がありますが、選手たちの不断の努力が、間を置かぬ「瞬時の判断力」と「柔軟な対応力」を生み出し、幸運の女神の前髪を掴ませたのでしょう。
さて当院は、病院創立70周年を終え、今年から新たな周年に駒を進めました。これからの10年は、団塊の世代が後期高齢に向かうことで、医療需要が短期的には若干増加すると思われますが、生産年齢人口の減少と消費税の引き上げ再延期によって、社会保障に使える財源が確保できなくなっています。そこで安倍政権は、昨年末の国会で、年金減額法案を成立させ、70才以上の高齢者医療費の自己負担の上限額を大幅に引き上げました。さらに、次年度中に「保健医療計画」、「介護保険事業計画」、「医療費適正化計画」の3計画が都道府県単位で見直され、さらに、平成30年度には診療報酬と介護報酬の同時改定が行われる予定です。このように医療環境が大きく変化する時代には、自らの診療機能の強みをこれまで以上に活かして、地域医療ニーズにマッチさせていくことが重要です。当院の「がん医療」、「移植医療」、「高齢者医療」、「小児医療」は、すでに地域の皆さんから高い評価を頂き、ここ数年、新しく入院される患者さんの数が相当数増えています。平成27年度の病院評価(国立病院機構)では、病院建替えの翌年に黒字化できたことが大きく反映されて、最高位の「AA」の評価を頂きました。職員各位の弛まぬ真摯な努力に心から感謝する次第です。
看護学校・学生寮建設に始まった「米子医療センターの新築整備事業」は、平成27年3月の新病院グランド・オープンで一旦は終了しましたが、地域のニーズと病院機能の強化を鑑み、新たに3階建ての「地域医療研修センター・在宅医療推進室」を病院東側の敷地に建設することに致しました。すでに設計作業は終了し、2月に着工予定で準備を進めています。また、県道皆生車尾線から病院に入る道路の拡幅工事が、米子市の事業として計画されており、当院の施設整備事業は今しばらく続くことになりました。
今年は「酉年」ですが、酉と聞いてすぐに思い浮かべるのは手塚治虫の『火の鳥』、100年に一度自らを火で焼いて再生することで永遠に生き続ける不死鳥の物語です。米子医療センターは、「火の鳥」の不老長寿にあやかって、脱皮と再生を繰り返し、地域に貢献し続けていく所存です。関係の皆様方には、今年も温かいご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。