令和4年1月1日 院長 長谷川 純一
新年明けましておめでとうございます。皆様健やかに新年を迎えられたこととお慶び申し上げます。今年こそは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)克服の年となる事を祈念します。
昨年は前年にも増してCOVID-19が猛威をふるい、鳥取県西部医療圏におきましても多数の感染者が発生し、当院も重点医療機関の一つとして感染者受け入れに一役買いました。また、病院玄関での来院者の自動体温測定や問診票による海外、県外等感染流行地への移動歴の把握、マスク、手指消毒の徹底、入院患者さんの直接の面会禁止や入院時のPCR検査など、防御対策の徹底、さらには、病院職員にワクチン接種をした上での県外移動や会食自粛などの行動制限により、同感染症の院内持ち込みやクラスター発生を防ぐことができたことに、心より感謝申し上げます。特に不自由で心細い思いをされた入院患者さんには本当に申し訳なく思っていますが、これもご本人様のためである事をお察しいただければと思います。
当院は職員の単身赴任や異動の多い組織でありながら、歓送迎会もなく、納涼会、忘・新年会など職員間のコミュニケーションを図る上で大きな役割を果たしてきた行事まで中止が続いたことは、病院にとって大きなマイナスであったと思います。しかし、この感染症は国内の第5波で完全消滅とは考えにくく、オミクロン株に置き換わるかどうかは別として、必ずや第6波が来るものと覚悟せざるを得ません。種々のストレス増加等避け得ない状況ではありますが、職員の皆様にも今しばらく緊張感を持ってコロナ対策にご協力いただきますようお願い致します。
昨年のアーカスの記事の中で、当院が一時的な診療抑制策の後、万全の対策の下、通常の診療体制に戻したものの、今度は患者さん側の受診控えが気がかりであることを述べました。不要不急の外出自粛の延長線上で、がん検診受診の自粛につながっているとすると、がんの発生、進行は待ってくれないので、コロナが一段落した頃に、進行したがん患者さんの大挙受診となることを恐れるというものです。このことは新聞紙上にも取り上げられ、米子市やわが国全体で問題となっているようですが、実は世界的な傾向のようです。2021年11月26日の科学雑誌Natureに、サンフランシスコの某病院の2020年のマンモグラフィー(乳がん検診)件数は2019年の半数に留まる事や、米国の各種がん診断数が2020年2?3月を境に大きく減少していることが報じられています。がん診療を大きな柱としている当院としては、この事を真摯に受け止め、患者さんへの積極的な声かけと、がんの発見・診断に一層努力することが必要と思われます。
昨年10月に久留一郎特命副院長が着任され、病院経営に新しい視点が加わっています。これまで懸案であった諸課題に加え、新たな方策にも取り組みを始めています。当院の健全経営は続いていますが、2022年度は診療報酬改定の年です。このところ、国家予算の多くをCOVID-19対策に費やしている反動で、通常の医療面への予算配分が貧弱になる可能性も否定できません。新病院建て替えから8年となることから、電子カルテ更新や手術室、病棟の諸設備、大型機器の更新や、診療レベル維持・向上のために必要な機器導入などに資源を振り向ける必要も生じることから、厳しい状況が予想されます。とは言いましても、全職員が働きがいを感じつつ、ポジティブに職務に就ける環境を整えることが全ての解決策となる事を信じ、力を尽くしたいと思います。皆様のご支援、ご協力の程心よりお願い申し上げます。