ページタイトル歯科口腔外科

歯科口腔外科の紹介

歯科口腔外科当科はこれまで非常勤医師による週3回の診療を行っておりましたが、2014年10月1日より口腔外科専門医による常勤体制となりました。スタッフは常勤歯科医師1名、常勤衛生士2名、非常勤衛生士1名、ドクターアシスタント1名で構成されております。
米子医療センターは鳥取県が指定するがん診療連携拠点病院に準じる病院です。また、血液腫瘍内科における骨髄移植も行われており、専門的口腔ケアが必要となる患者様が多くいらっしゃいます。 院内患者様の口腔ケアを充実させながら、口腔外科疾患に対する外来診療、入院および全身麻酔下での手術も行っています。現在、米子地域において入院および全身麻酔下での手術を行っている口腔外科施設は限られており、当科がその役割の一端を担うことが地域医療に対するバックアップになるものと考えております。
地域の先生方と力を合わせて地域医療を盛り上げていきたい所存ですので、よろしくお願いいたします。

診療内容

外来診療は口腔外科疾患、周術期口腔ケア(手術やがん治療の患者様に対するお口のケア)が対象となります。
通常の虫歯治療、入れ歯やかぶせものの治療は原則として行っておりません。急患で来院された場合は、応急処置での対応とさせていただきますので、ご了承ください。

口腔外科疾患

①親知らずや埋まっている歯の抜歯
あごの深い位置にあって抜くのが困難な親知らずや、埋伏歯(正常にはえなかった歯)の抜歯を行っています。位置によっては全身麻酔での手術が必要となる場合もあります。

②口の腫瘍
口の中や周りにできものができた場合だけでなく、口の粘膜が白くなったり口内炎が治らない場合も専門医の診察が必要となります。

③あごや口の感染症
歯や歯ぐきに菌が感染して、あごや頬が腫れることがあります。重症化した場合は入院が必要になることもあります。

④あごの中ののう胞(袋状のできもの)
さまざまな原因で、あごの骨の中に「のう胞」と呼ばれる袋状のできものが生じることがあります。レントゲンで偶然見つかることもありますが、口の中が腫れて見つかる場合もあります。放置すると徐々に大きくなって、骨が吸収したり神経がしびれたりすることがあります。

⑤顎関節症(がくかんせつしょう)
口をあけるとあごから音がする、痛い、口が開かない、といった症状を総合して顎関節症と呼びます。最近では運動療法や習慣づけを主体とした保存療法が中心になっています。痛みが強いときは薬を使用することもあります。

⑥あごや歯の外傷
転んだり、スポーツでぶつけたりして、歯が抜けたりぐらついたりした場合は早期の固定が有効です。また、あごの骨折を生じることもあり、あごの機能を回復するためには手術が必要になることもあります。

⑦有病者の抜歯
からだの病気のために血が止まりにくい方や、抵抗力が低下している方の抜歯や口の外科処置を行っています。

周術期口腔ケア

①手術前後の口腔ケア
口の中にはさまざまな細菌やウィルスが生息しており、口の中が不衛生であると口腔細菌などが人工呼吸器を通して気管や肺に侵入して気管支炎や肺炎をおこしたり、歯の周囲の血管から侵入した細菌が心臓内部に感染するリスクが高くなります。また、食道がんや胃がんなどでは術後に手術した部位が感染して、治癒不全になる可能性もあります。そのため、手術前に必要な歯周病の治療や抜歯をしておくこと、口の中を清潔に保つことは非常に大切です。
また、全身麻酔の際、挿管するときに強く当たった前歯が折れたり、抜けて飲み込んだりするリスクを術前に把握して下げることも目的です。
手術後も、自浄作用(食べることや唾液分泌で口の中の汚れがとれる)が働きにくいことと、自身での清掃が不十分なため、口から感染を生じやすい状態は続きます。手術前だけでなく、手術後も継続して口腔ケアを行うことが重要です。

②抗がん剤治療中のケア
抗がん剤治療は様々な新薬が開発され、その効果も確立されたものとなっています。しかし、治療によっておこる副作用や合併症の問題も深刻になってきています。そのため治療を開始する前に歯科で口のケアを受け、合併症を予防しようとすることが一般的になっています。
抗がん剤での治療中は、口の中に様々な副作用が起きます。その頻度は高く、米国の国立がんセンターの報告では、一般的な抗がん剤治療を受ける患者さんの約40%、造血幹細胞移植治療のような強い抗がん剤治療を受ける患者さんの約80%に口の副作用が現れると報告しています。
口内炎は、ほとんどの抗がん剤治療で認められています。抗がん剤治療によって口内炎になった人の約50%が重症の口内炎のために、がん治療そのものに悪影響を受けています。
またほとんどの抗がん剤治療中は、骨髄抑制といって、体の免疫力が低下する副作用があります。吐き気やだるさなどで口の清掃が難しくなると、口の感染症が非常に起こりやすくなります。また免疫力が低下した時は、全身に広がってしまう危険もあります。
残念ながら副作用をゼロにするような方法はありませんが、少しでも症状を和らげ一日でも早く治す為には、「口のケア」が有効であることが様々な研究で報告されています。「がん治療の開始前、できれば2週間前までには歯科を受診しておくこと」「がん治療中も継続して口腔内を清潔で良好な環境に維持するよう努めること」がとても大事です。

担当医師 川﨑 誠 医長
小谷 勇 医師(非常勤)
医師紹介

川﨑 誠かわさき まこと

  • 川﨑 誠
  • 卒業大学
  • 徳島大学(鳥取大学大学院)
  • 卒業年次
  • H24.3(R3.9)
  • 学会活動・資格
  • 医学博士
    日本口腔外科学会 認定医
    日本口腔科学会
    日本口腔腫瘍学会
  • その他
  • 厚生労働省 緩和ケア研修修了