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ページタイトル活気ある職場づくり

米子医療センター院長 M副 隆一

歴史に残る大災禍となった福島第1原発事故から4年が経過しましたが、今なお12万人の福島県民が避難先での暮らしを余儀なくされています。事故当時の石原都知事は「我欲のなせる業だ」と述べ、エネルギー政策の大きな転換点であることを示唆しました。さらに、福井地裁が出した大飯原発の運転差し止めを命じる判決では、「豊かな国土に国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることは国富の喪失だ」と理由を述べ、国の豊かさを説きました。未だに原発回帰を望む声が聞こえてきますが、これほど地震の多い日本には再生可能エネルギーが適しているように思われます。

さて、病院経営の理念は、病院事業を通して社会貢献を果たすことです。そのためには、良好な経営のもとで、継続して質の高い医療を提供していくことが重要です。私たちは、この理念達成に向けて、年度毎に病院目標を掲げ目指す方向をひとつにして取り組んできました。表1と表2に、平成19年度以降8年間の病院目標を示していますが、各病院目標に対しては、病院を運営していく上で必要とされる「顧客意識」、「品質管理」、「院内・地域連携」、「健全経営」の4つの観点から行動目標を提示し、各部門で取り組む指標にしてきました。組織の崩壊は外部要因だけではそう簡単に崩れることはなく、多くの原因は方向性を見失うことで、内部の結束の乱れが大きな要因です。新病院の建設が始まった平成24年度以降には、「働きやすい環境作り」や「対話しやすい職場環境」が行動目標に表れ、さらに平成25年度には「人材育成・教育機能の強化」が加わりました。これまでの各部門の取り組みにより、少しづつは成果が出ていますが、未だ十分とは言えません。病院にしても会社にしても大事なのは人です。いくら病院が新しくなり、設備が良くなっても、働くスタッフにやる気がなければ、組織として良い機能は果たせないし、また良い人材も育ちません。職員の活性化と人材の育成は、病院の成長を促す要であると思います。

そこで、平成27年度は病院目標を「知識を智恵に変えて取り組もう」とし、 @ 患者視点に立ったサービスの提供、 A 職員のやる気とアイデアを大切に、 B 入院医療を重視し、地域と連携、 C 生産性を高め、費用の効率化を図る、の4項目を行動目標に掲げました。今年も沢山の新入職員を迎えました。活気ある職場づくりができれば、人材は自ずと育っていくものだと思います。組織や職員個人の活力を引き出し、新生した米子医療センターの機能強化に繋げていきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

表1.病院の年度目標(1)

平成19年度  職員と家族に選ばれる病院になろう

1.質の高い医療を安全に提供
2.各部門の連携を深めチーム医療を推進
3.収支黒字化 入院患者数 200人、診療点数 3,400点(1日)
4.費用の削減と正確・確実な診療請求

平成20年度  地域社会から支持される病院になろう

1.顧客意識: 患者中心の医療サービス
2.品質管理: 質の高い安全な医療
3.院内連携: 部門間連携によるチーム医療
4.コスト意識: 費用削減と適正な診療請求

平成21年度  地域に貢献できる病院を目指して

1.多職種間の連携を強化し、チーム医療を推進する
2.働きやすい環境作りに努力する
3.地域住民の医療を充実させる
4.収支改善により黒字経営を目指する

平成22年度 チーム医療による病院機能の向上

1.患者中心の医療サービス
2.各部門の連携による業務改善
3.チーム医療への積極的な取り組み

表2.病院の年度目標(2)

平成23年度  地域を支える病院創り

1.患者さんに優しい対応
2.EBMに基づく安全な医療
3.職種間連携による業務の効率化
4.持続可能な安定経営

平成24年度  地域の一員としての役割強化

1.患者満足度の改善
2.働きやすい環境作り
3.部門連携によるチーム医療の推進
4.業務見直しによる収支の改善

平成25年度 絆を深め、現場力を育む

1.対話しやすい職場環境
2.共鳴・協働できる職種間連携
3.人材育成・教育機能の強化
4.持続可能な健全経営

平成26年度 働きがいのある職場を作ろう

1.対話しやすい職場環境
2.職種間連携によるチーム医療の充実
3.医療情報の共有化による業務の効率化
4.地域との連携を深める