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ページタイトル「強み」を活かして「持ち味」を磨こう

米子医療センター院長 M副 隆一

新年明けまして、おめでとうございます。皆様におかれましては、健やかに新年を迎えられたこととお慶び申し上げます。

世界各地で紛争が絶えません。イスラム国の台頭によりシリアやイラクの内戦が激しさを増し、ウクライナではクリミアがロシアに編入されました。日本周辺でも南沙諸島や尖閣諸島など中国との領土問題で小競り合いが続いています。皇后美智子様は毎年、誕生日に所感を述べられますが、誠実な視点と冷静な洞察にいつも感心いたします。今年は傘寿をお迎えになり、「私たち皆が絶えず平和を志向し、国内外を問わず、争いや苦しみの芽となるものを摘み続ける努力を積み重ねていくことが大切です。」と、平和への思いをつづられました。日本がこれからも平和であり続けるためには、憲法9条を携えて平和を求め続けていくことが大事であることを改めて心に刻みました。

さて日本は、2008年をピークに人口減少の局面に入り、さらに今後、人口の塊である団塊世代が後期高齢期に向かうことから、人口減少が急速に進むとされています。高齢かつ人口減少の社会においては、「質の高い医療を効率的に提供する体制」と「医療と介護が一体となった地域包括ケアシステム」を機能的に連動させる必要があり、昨年6月に「医療介護総合確保推進法」が成立しました。医療提供体制に関しては、改革シナリオとして病床機能の報告、地域医療構想の策定、地域医療機関による協議、新たな財政支援(基金)、そして最終的には、知事による裁定という5つの施策と一連の流れが示されました。これを基に、昨年11月には「病床機能報告制度」がスタートし、当院では一般病棟 5個を急性期機能として、緩和ケア病棟 1個を慢性期機能として報告いたしました。

病院の経営を測るのに、病床数や職員数などの規模や収益の多寡が指標として使われることがあります。確かに、昨今の診療報酬の改定にみられるように、施設基準などの加算が大型の病院に手厚く配分されており、規模が大きいほど経営効率が高く、医療面でも高く評価される傾向にあります。しかし、病院医療全体で見ると、300床未満の中小病院が全病床数の約8割を占め、持ち味である機敏性と柔軟性を発揮して地域医療を展開しています。小さなカタクリやスミレの花が大きな牡丹やシャクヤクの花と共生し、美しさを競いあっているように、私たちも、「地域の命を支える」理念のもと、これまで培ってきた「強み」を活かし、「持ち味」に磨きをかけ、地域への貢献と事業の継続を図っていこうと思います。

今年もご指導・ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

なお、旧病院の解体と正面駐車場の整備が今も続き、ご不便をおかけしていますが、今年の3月には整備事業がすべて終了し、3月26日に「新病院グランド・オープン」を予定しています。関係の皆様にはより一層のご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。