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ページタイトル新病院完成式典式辞

今日は、暦の上では「夏至」に当たります。昼の時間がもっとも長く、太陽のエネルギーが最高に降り注ぐ日でございます。このエネルギッシュな日に、念願でありました米子医療センターの新しい病院が完成し、皆様にご披露できますことは、大変大きな喜びでございます。

工事を施工いただきました株式会社奥村組の皆様ならびに中林建築設計事務所の皆様に深く感謝申し上げますとともに、関係いただきました皆様のご理解とご支援に、厚く御礼を申し上げる次第です。また本日は、ご来賓の皆様にはご多忙中にも拘らずご臨席を賜り、誠にありがとうございます。

当院は、独立行政法人化された平成16年に、名称を国立米子病院から国立病院機構米子医療センターに変更し、患者様の目線に立った、質の高い医療の提供を心がけて参りました。現在では、「地域医療支援病院」として、地域の一般医療を支える傍ら、鳥取県西部地区の「がん診療連携拠点病院」として、また鳥取県で唯一の「献腎移植施設」ならびに「骨髄移植施設」として、高度先進的な専門医療も担っております。

しかし、現在の病院は昭和44年に建築されたもので、著しい老朽化と狭隘さのために、医療の高度化への対応や、療養環境を改善したり、診療業務を効率化する上で支障を来すことが増え、病院の建て替えが急がれる状況にありました。病院の建て替えは、40数年に1度の大事業でありますし、何よりこの地域にとりましては、大きな公共財産となるものでもありますので、鳥取県行政、鳥取大学医学部、鳥取県西部医師会、そして地域住民の皆様方にご相談を申し上げ、新病院建設の基本理念と基本構想を練って参りました。その結果、基本理念は「地域の命を支える」とし、基本構想には「鳥取県で不足している医療の充実」および「県西部に欠けている医療の整備」の2つを掲げました。「県で充実させるべき医療」には、骨髄移植を中心とした「幹細胞移植センター」と臓器移植機能を持った「腎センター」を設置することに致しました。また、「県西部に整備すべき医療」としては、医療計画で必要とされている緩和ケア病床が県西部で未整備のままとなっていることから、当院に「緩和ケア病棟」を整備することにしました。

病床数は、緩和ケア20床を加えて270床となりますが、そのうち94床(30%)を個室にして、療養環境を整えました。また、新たな取り組みとして、療養環境に「ホスピタル・アート」を取り入れ、「森の中;in the forest」をテーマに、外来の待合や 病棟廊下の壁面に絵を描いて頂きました。患者さん方に、森の中のイメージを感じていただき、不安な気持ちが少しでも和らぎ、前向きの気持ちで治療に臨んで頂けるよう願っています。

最後に、ここに完成しました新病院は、地域に頂きました「大きな宝」でございますので、これを最大限に活かし、地域を支えるに足る「強くて、暖かくて、優しい病院」を築いて参る所存でございます。

今後ともより一層のご支援とご指導をお願い申し上げまして、式辞とさせて頂きます。

平成26年6月22日
国立病院機構米子医療センター 院長 M副 隆一