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ページタイトル智恵と活力で地域を創生

平成27年7月1日  院長  M 副 隆 一

「地方が主役」と言われて約半世紀。経済発展に伴って都会に集中するヒト・ モノ・カネの流れが、東京と地方の経済格差をどんどん広げ、大きな政治課題に発展 しました。バブル景気の頃には、格差は縮まるどころか二極化を迎え、大平首相は「田 園都市構想」を、竹下首相は「ふるさと創生」を掲げ、自ら考え自ら行う地域づくり 事業として全国の自治体に1億円ずつの交付税を配りました。しかし、ばらまきの誹 りを免れず、小泉首相は「三位一体改革」と称して国から地方への財源移譲に挑みま した。このように、地方の活性化や分権の推進を謳った政策が次々に打ち出されまし たが、改善される兆しはなく、今や地域の衰退から消滅の危機にある自治体も出てき ています。そういう中、安倍首相は再び「地方創生」を声高に唱え、ヒト・モノ・カ ネを地方に取り戻すとして基金を創設しました。分配政策で果たして地方の時代が来 るのか、ましてや、その成果が成長戦略である「アベノミクス」と両立できるのか、 はなはだ疑問に思わざるを得ません。

さて、日本の人口が減少に転じて数年になりますが、今後は進行が一段と早 まるとされています。人口の減少は、経済的な視点で見ると、消費の落ち込みにより 地域経済は縮小せざるを得ませんが、医療や介護などは公共性が高く、生活の基盤で もありますので、これらのサービスが低下すれば、さらに人口が流出する負の連鎖を 招きかねません。それを防ぐには、人口動態の変化によって生まれる『新たなニーズ』 を掘り起こし、地域と共創・共生する関係を持続的に生み出していく必要があります。 例えば、高齢者が増加すれば、総じてがん患者は増加しますが、高齢あるいは併存疾 患を理由に根治的治療のできない患者さんも増えますので、緩和医療のニーズがより 一層高まってくるでしょう。また同時に、終末期のがん患者を地域の中で支えていく ためには、医療と介護の両面から「在宅緩和ケア」を提供できる仕組み作りも必要に なってきます。このように、サービス産業の需要は、提供できるサービスの質やサポ ート体制の如何により大きく影響を受けますので、サービスを提供する側の「智恵と 活力」で地域に新しい満足を創り出していくことが、地域の創生に繋がっていくと確 信します。当院は、鳥取県西部で唯一の地域がん診療連携拠点病院として緩和ケア病 棟を設置し、治療と緩和の両面からがん医療の充実を図ってきました。今後は、ご自 宅での治療を希望される終末期の患者さんに対しても、在宅医療施設や訪問看護とス ムースな連携と調整を図りつつ、専門的な緩和ケアの技術やスキルを継続的に提供し、 在宅医療の質向上に貢献していきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げま す。