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ページタイトル病院創立70周年

平成28年7月1日  院長  M 副 隆 一

米子医療センターは、平成28年7月1日、病院創立70周年を迎えました。これまで70年間の発展の礎を築いて来られた多くの先輩方のご努力に心から敬意を表しますとともに、地域の皆様をはじめ関係各位の温かいご支援とご指導の賜と深く感謝申し上げる次第です。

昨年、日本は終戦から70年の節目を迎えましたので、病院創立からの70年は戦後の歴史とともに歩んできたと言えます。この間、医学の進歩はもとより、国民皆保険制度の確立により、猛威を振るった結核や急性の感染症は沈静化し、我が国の平均寿命は急速に延びました。一方で、高齢者が増えるにつれて問題となったのは、生活習慣病とがんの増加で、この疾病構造の変化につれて病院医療も大きく変わってきました。当院は、2004年に独立行政法人化されて以降、国の定める政策医療からの脱皮を図り、地域医療支援病院として一般診療に励む傍ら、がん診療連携拠点病院をはじめ、腎臓移植施設、骨髄移植施設、エイズ治療拠点病院、臨床研修指定病院など、たくさんの公的な施設認定を受け、地域の中核病院として着実に成長して参りました。

この10年を振り返る時に忘れ得ぬことは、当院の経営状況が悪かった初期に、中長期的に見て病院の建て替えが困難と判定され、「再生プラン病院」の指定を受けたことです。再生プランでは、「ヒト・モノ・カネをつぎ込むことなく、病院の建物整備に必要な資金を捻出せよ」という過酷な命題が与えられ、病院の廃止をも意識して経営改善に取り組んできました。診療収益の増収に関しては、統括診療部の医師の活躍に頼るところが大きいのですが、当院の取り組みでは、看護部、事務部、コメディカル部門それぞれが、専門性を活かして診療支援に取り組んだのが効を奏し、平成22年3月には病院建て替えに必要なレベルの資金が確保されるようになり、平成22年7月に病院の全面建て替え計画を機構本部に申請するに至りました。

一方、これに先立つ同年3月、偶然にも、鳥取県の平井伸治知事が「伸び伸びトーク」という企画で当院を訪問され、地域医療での役割について直接に意見を交換する機会を得ました。当院の診療の柱である「がん医療」と「移植医療」を地域に欠かせない医療として高く評価され、新病院建設に向けて「財政的な支援」と「国への働きかけ」を約束して頂きました。財政的支援では地域医療再生基金から相当額を支援いただき、さらに、知事自らが国立病院機構に出向かれ、当時の矢崎義雄理事長(現:国際医療福祉大学総長)に、当院の新病院建設が早期に実現できるよう直接に要請して頂きました。このような鳥取県の力強い支援が大きな力となり、平成22年10月、整備申請からわずか3ヶ月という異例の速さで整備承認が得られ、承認から4年後の平成26年6月に新病院が無事に完成致しました。平井知事のご配慮と矢崎前理事長のご英断に改めて感謝を申し述べる次第です。

最後に、「10年一昔」と申しますが、世の中の移り変わりはますます激しく、5年先を見通すのも容易ではありません。次なる10年の間にも、さまざまな試練や困難が訪れると思いますが、あとに続く人たちの「智恵」と「努力」によって、米子医療センターが更なる栄光に包まれることを祈念致します。