ページタイトル甲状腺がん

現状

甲状腺は、体の新陳代謝を盛んにするホルモンを作る臓器です。その位置はくびの前方、のどぼとけのすぐ下にあり、蝶々が羽を広げた様な形で、気管に張り付いています。

この甲状腺にできたしこりを「甲状腺腫」といいます。甲状腺腫には良性と悪性とが有り、悪性甲状腺腫の殆どはがんですが、稀に悪性リンパ腫が有ります。

甲状腺腫のうち、約20%ががんで、約5倍ほど男性より女性に多く見られます。しかし、幸いに他のがんに比べると、甲状腺がんは進行が遅く、治りやすいものが多いのが大きな特徴です。

症状

甲状腺はごく薄く柔らかい臓器なので、ふだんは首を触っても分かりませんが、腫れてくると、手で触りますし、更に大きくなれば首を見ただけで腫れが分かる様になります。

また、周囲の臓器を圧迫したりすると嗄声(かすれごえ)になったりします。

検査

検査の第一段階として、首の診察(視診、触診)を行います。次に、しこり(甲状腺腫)の存在を確認したら、それが良性のものか、がんであるのかを鑑別する検査を行います。

検査の中心になるのは超音波検査と細胞診です。場合によっては、X線撮影、CT(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像)を行います。

細胞診以外は苦痛の無い検査ですが、補助的検査です。がんを確実に診断するためには若干の痛みを伴いますが、細胞診(穿刺吸引細胞診)が必要になります。以上の検査は全て外来で出来ます。

治療

がんの場合は、手術が基本となります。首を切ると言うことで大層心配でしょうが、腹部や胸部の手術より術後は楽だと思われます。

前述しましたように、甲状腺がんは進行が遅いため、たいていは転移したリンパ節も含めてきれいにとることが出来ます。

万一、手術が出来なかった時には、甲状腺ホルモン剤の服用で広がるのを抑えます。悪性リンパ腫が極稀に有りますが、これは放射線治療が劇的な効果を上げています。

受診の手順

受診科:胸部・乳腺外科